「オンラインカジノの儲けには税金がかからない」と考えている方が多いのではないでしょうか。実はオンラインカジノで稼いだ収益には税金がかかります。万が一、そのことを知らずに税金をきちんと納めていない場合は、重い刑罰を受けてしまう可能性もあるのです。しかし、全ての収益に税金がかかるわけではなく、税金が発生しない場合もあります。
そこで今回は、オンラインカジノでカジノゲームを楽しんでいる方に向けて、オンラインカジノに関する税金について解説します。納税額の計算方法や確定申告の仕方はもちろん、節税方法も解説するので、オンラインカジノの税金対策が気になる方は参考にしてください。
オンカジの賞金は税金対象になるか?
オンラインカジノの賞金は税金の対象です。オンラインカジノが提供するカジノゲームに勝つと勝利金を獲得できます。このオンラインカジノで発生した利益は全てを受け取れるわけではなく、個人の所得とみなされ、後から所得税を支払う必要があります。
なぜなら日本の納税者は非課税所得と定められている所得以外は、全て課税対象となるためです。日本の公営ギャンブルである競馬や競輪、ボートレースなどで得た利益は、非課税所得の定めがなく課税の対象になります。
オンラインカジノで得た利益についても、日本に法律がないため課税対象になるというのが一般的な考えです。課税の対象である以上、税金を納めないと罪に問われます。オンラインカジノの勝利金には税金がかかるので、確定申告をして納税しましょう。
オンカジの勝利金は一時所得
オンラインカジノで獲得した勝利金は、一時所得とみなされます。一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得」のこと。要するに、会社員が労働の対価として受け取る給料ではなく、突発的に手に入ったお金を指します。
一時所得について知っておこう
【一時所得に分類されるもの】
1. 懸賞や福引きの賞金 2. 競馬や競輪の払戻金 3. 生命保険の一時金 4. 法人から贈与された金品 5. 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける法労金等 |
一時所得についてもう少し詳しく解説すると、オンラインカジノで得た利益は一時所得に分類されるもののうち、「1.懸賞や福引きの賞金」「2.競馬や競輪の払戻金」にあたります。ここで、「競馬やパチンコで勝っても税金を払っていないけど…」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。
実は競馬やパチンコなどのギャンブルで発生した利益も、本来はオンラインカジノと同じく一時所得として扱われます。しかし、競馬やパチンコの利益に対する税金を納めている方は多くありません。
これは税金が必要という認識を持っていない方が多いこともありますが、競馬やパチンコの賞金が手渡しであることも大きな理由です。そのため、税務署は誰がいくら受け取ったかを把握できず、取り締まりが難しいため見逃しているという現状があります。
オンカジの「勝利金」幾らから納税義務が生じる?
オンラインカジノの勝利金は、年間50万円以上を稼ぐと納税義務が生じます。これは、一時所得に対して、最高50万円までの特別控除があるためです。そのため、オンラインカジノで利益を得てもトータル50万円までは税金がかかりません。
ただ、年間50万円の利益は意外にハードルが高く、一般的なプレイヤーであればなかなか達成できないので、あまり気にしすぎる必要はないのかもしれませんね。
オンラインカジノからの「所得」税金はいくら払うの?
オンラインカジノの所得は一時所得とみなされ、所得税および住民税が課税されます。ただ、税率は一時所得額によって異なるため、オンラインカジノの所得に対していくらの税金が必要なのかは一概に言えません。
そのため、納税額の計算方法の解説と、いくつかのケースでの税額をご紹介します。
納税額の計算方法
オンラインカジノの税金を計算するためには、一時所得を算出する必要があります。計算式は以下の通りです。
一時取得=「総収入金額−支出金額−特別控除額(最高50万円)×1/2 |
これをオンラインカジノ仕様に置き換えると、以下のようになります。
一時所得=「総出金額−総入金額−特別控除(最高50万円)」×1/2 |
この計算式に当てはめた結果、一時所得がプラスのときに申告をする必要があります。実際に計算するときは、特別控除額の50万円を引くのを忘れないように注意しましょう。
いくつかの具体的なケースでの税額は以下の通りです。
総出金額 | 総入金額 | 純利益額 | 一時所得額 | 所得税率 | 所得税額 |
100万円 | 70万円 | 30万円 | 0円 | 0% | 0円 |
100万円 | 50万円 | 50万円 | 0円 | 0% | 0円 |
100万円 | 30万円 | 70万円 | 10万円 | 5% | 5,000円 |
100万円 | 10万円 | 90万円 | 20万円 | 5% | 1万円 |
500万円 | 100万円 | 400万円 | 175万円 | 5% | 8万円7,500円 |
1,000万円 | 100万円 | 900万円 | 425万円 | 20% | 85万円 |
表からもわかるように、年間の純利益額が50万円以下であれば特別控除額によって相殺されるので課税されません。ちなみに最高所得倍率の45%が適用されるのは、年間8,050万円以上の利益を出したプレイヤーのみです。
なお、一時所得の税率は、下記の表のように所得金額が大きな額になるほど高くなる「累進課税制度」を採用しています。
一時所得額 | 所得税率 |
0~195万円 | 5% |
195~330万円 | 10% |
330~695万円 | 20% |
695~900万円 | 23% |
900~1,800万円 | 33% |
1,800~4,000万円 | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
稼いでいるプレイヤーほど、税金の負担が増える仕組みです。一時所得金額が1,800万円以上になると約半分を税金として納めることになるので、ハイローラーにとっては非常に厳しい仕組みといえますね。
確定申告が必要な金額
では、確定申告が必要な金額は、いくらからなのでしょうか。個人事業主と会社員に分けて解説します。
個人事業主・フリーランスの場合は年間利益が50万円を超えると確定申告が必要
個人事業主・フリーランスの場合は、先ほど解説したようにオンラインカジノの年間利益が50万円を超えると確定申告が必要です。これは、一時所得に最大50万円までの特別控除があるからです。
利益が50万円以下の場合は、所得金額から所得控除を差し引くことで課税所得が0円となります。したがって、所得税が発生しないため、確定申告が不要となります。
会社員の場合は年間利益が90万円を超えると確定申告が必要
オンラインカジノの利益が給与以外の収入にあたる会社員の方は、年間利益が90万円以上になると確定申告が必要です。これは、最大50万円までの特別控除以外に、「給与など以外の一時所得の課税金額が20万円以下の場合は申告不要」という条件が加わるためです。
なお、一時所得の課税金額は「一時所得÷2」で計算するため、課税金額20万円を2倍にした40万円までが申告不要の一時所得になります。したがって、会社員の方は、オンラインカジノの年間利益が90万円以下の場合は税金が発生しません。
税金は払うべき?脱税するとどうなる?
オンラインカジノの利益が年間50万円(または90万円)を超えているにも関わらず税金を支払わなかった場合は脱税とみなされます。この場合、本来の税額に15~20%増額した金額を支払わなければならない追徴課税が発生します。
さらに、脱税行為に対して税務署から指摘された際に、嘘をついたり申告金額をごまかしたりすると悪質と判断されるケースも。最悪の場合、10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金などの刑事罰の対象となる可能性もあります。
脱税行為は容易にバレてしまうので、不要なトラブルを避けるためにもきちんと納税しましょう。そのためには、普段からオンラインカジノで稼いだ金額を記録しておき、申告の必要があるかどうかをチェックしておくことも重要です。
脱税はこうしてバレる!
競馬や競輪、ボートレースなどと比べると、オンラインカジノの利益の発生はバレやすいのが特徴。ここでは、なぜオンラインカジノの脱税がバレやすいのかを解説します。
銀行口座を通して賞金を出金すると記録に残る
オンラインカジノだけでなく、本来であれば競馬やパチンコなどのギャンブルで得た利益にも税金を支払う義務があります。しかし、競馬やパチンコで勝利金が発生した場合は、現金ですぐに払い戻されるため、お金の受け渡しに関する記録が残りません。
そのため、税務署は「誰がいくら収入を得たのか」という情報を把握するのが難しいのが現状です。その結果、競馬やパチンコで得た収入に関する税金が未納でも、バレずに罪に問われない状態になっています。
一方、オンラインカジノは、勝利金の受け取りに銀行口座を利用します。銀行口座の入出金履歴にお金の流れが残るため、税務署は簡単にチェック可能です。もしも、税金をはらっていない場合は、すぐにバレることになります。
100万円以上の送金は税務署に通知される
海外から100万円以上の送金があった場合、税務署に知らせる義務が銀行にあるのも脱税がバレやすい理由です。オンラインカジノは海外の企業が運営しているため、勝利金は海外のカジノから送金されます。
税金はいつ、どうやって納めるの?確定申告の必要書類は?
オンラインカジノの税金に関する、必要書類や納税期日、申請方法などを解説します。
必要書類
確定申告に必要な書類は以下の通りです。
● 確定申告書 ● 支払調書(求められた場合に必要) ● 源泉徴収票(給与所得者の場合に必要、企業から受け取る) ● 支払いに関する領収書(所得が300万円以下の場合は不要) ● 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証) |
支払調書は、オンラインカジノのカスタマーサポートへ連絡すると発行してもらえます。もし、発行を断られた場合は、国税庁のホームページからフォーマットをダウンロードして自分で作成することも可能です。
納税期日
オンラインカジノに限らず、税金は1月1日から12月31日の1年間に稼いだ金額が対象。納税および確定申告の期間は、原則的に翌年の2月16日から3月15日までの1ヵ月間です。確定申告期間は後半になるほど混雑するため、早めに提出するのがおすすめです。
● 課税対象:1月1日~12月31日 ● 確定申告期間:翌年2月16日~3月15日 |
申請方法(オンライン・税務署等)
確定申告書の準備が完了したら、いよいよ提出します。確定申告書の提出先は、住んでいる場所の税務署です。提出方法は以下の3種類なので、自分に適した方法で申請しましょう。
● 税務署に持参し、直接提出する ● 税務署に郵送で提出する ● e-Tax(オンラインで利用できる国税電子申告・納税システム)で送信する |
e-Taxで申請する場合は、国税庁のホームページで申告書を作成した場合のみ利用できます。
納税方法をステップ・バイ・ステップで解説
会社員(給与以外の収入がある場合)と個人事業主の納税方法は基本的に同じです。納税手順は以下の通りです。
①確定申告書類を入手する
(国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署で入手することが可能)
②確定申告書類に必要事項を記入する
(所得金額や控除対象となる支出などを正確に記入)
③確定申告書類を提出する
(提出期限は原則として2月16日から3月15日まで)
④税金を納付する
確定申告書類を提出した後、納税通知書が送付されます。通知書に記載された納付期限までに税金を納付しましょう。税金の納付方法は以下のなかから選択できます。
● 納付書納付書を利用し金融機関または所轄税務署の窓口で納付 ※納付書は税務署または金融機関に用意されているものに必要事項を記入して利用 ● 振替納税(口座引落)で納付 ※確定申告期限までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」の提出が必要 ● e-Taxで納付 ● クレジットカードで納付 ● コンビニエンスストアで納付 |
オンラインカジノにおける節税方法を解説
「オンラインカジノでせっかく勝ったお金を、税金として払いたくない」「確定申告とか、そんな面倒なことしたくない」と考えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、オンラインカジノにおける節税対策をご紹介します。
勝利金を50万円以内に調整する
まず1つ目は、年間の勝利金を50万円(または90万円)以内に抑える方法です。オンラインカジノの一時所得は、一定額までは特別控除を受けられます。要するに、課税対象額まで稼がなければ税金がかかりません。
1年のうち、早い段階で大きな勝利金を獲得した場合は別ですが、年間の勝利金が課税対象額になるかどうか微妙な場合はうまく調整した方がよいでしょう。状況に合わせて節税対策を行ってみてください。
出金額を50万円以内に抑える
2つ目は、出金額を50万円(または90万円)以内に抑える方法です。大きな勝利金を獲得してもオンラインカジノに保有したままであれば、銀行口座に記録されません。記録が残らない限り、税務署の目に付くことはないので税金が課されることもありません。
オンラインカジノの税金について知っておくべきポイント・注意点
オンラインカジノの税金について、知っておいたほうがよいポイントや注意点を解説します。
オンラインカジノでは勝利金にのみ税金を支払う
オンラインカジノでは、勝利金から損失額を差し引いて税金を納めるのではありません。勝利金のみに対する税金を支払う必要があります。例えば、オンラインカジノで200万円の勝利金を獲得した後に、80万円負けた場合で考えてみましょう。
この場合、勝利金の200万円に対して税金が発生します。「200万円(勝利金)−80万円(損失額)=120万円」の120万円に税金がかかるわけではないので注意が必要です。あくまでも損益は関係なく、利益分だけに税金が発生します。
オンラインカジノで利益が発生した場合は確定申告を行う
何度も言いますが、オンラインカジノで利益が発生した場合は、一定額を超えると税金の支払いが必要です。その場合は、必ず確定申告を行うようにしましょう。
確定申告が必要であるにもかかわらず申告していない場合は、滞納税や加算税など余計な税金を納めないといけなくなったり、刑事罰を受けたりすることもあります。
オンラインカジノに関する住民税の納付書は自宅に届くようにする
勤務先にオンラインカジノを利用していることを知られたくない会社員の方は、オンラインカジノに関する住民税の納付書を自宅に届くようにしておくことをおすすめします。会社に届く住民税の納付書と分けることで、カジノの利用を勤務先に知られないで済みます。
ちなみに、オンラインカジノに関する住民税の納付書を自宅にする手続きは、確定申告書の第2表「住民税に関する事項」のなかにある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の「自分で納付」にチェックを入れるだけで完了します。
オンカジと税金 まとめ
オンラインカジノで発生した利益は一時所得に分類され、一定額を超えると課税対象になります。一定額の基準は、「個人事業主・フリーランスの方は年間利益50万円以上」「会社員の方は年間利益90万円以上」です。
確定申告が必要であるにもかかわらず申告していない場合は、追徴課税が発生するだけでなく、刑事罰を受ける可能性もあります。そうならないためにもオンラインカジノの収支管理を徹底し、確定申告が必要かどうかを常にチェックしておきましょう。
よくあるご質問
オンラインカジノの税金についてのよくある質問をご紹介します。