英国ギャンブル委員会は、2019年10月から2022年2月まで、ビデオスロッツのオンラインカジノ運営に関して、調査を行っていました。
その中で、英国ギャンブル委員会の定める規制に違反している部分があったため、ビデオスロッツへ罰金命令が下されています。
ビデオスロっつといえば日本でも知名度のある有名オンラインカジノ。とはいえ、3億円の罰金となると、経済的にも、評判のうえでも、かなりの痛手となるでしょう。
英国ギャンブル委員会が指摘した違反点
英国ギャンブル委員会の規制に違反したと判断された点は以下の2点です。
- マネーロンダリング(AML)対策が適切でなかった
- 責任あるギャンブルの対策が不十分であった
どちらもオンラインカジノでプレイしたことのある人ならよく知っている項目でしょう。これらはプレイヤーが安全にプレイするための最低限の約束事で、各ライセンス団体が自団体のライセンスを有しているカジノに対し、公式サイトでの提示を義務付けています。この2点に不備があるということは、大きな問題です。
それぞれの問題点について、さらに掘り下げてお伝えしましょう。
マネーロンダリング(AML)対策が不適切
英国ギャンブル委員会は、ビデオスロッツが、ライセンス条件に定めた規約を守れていないと認定しました。
オンラインカジノでは、数千万、数億の賞金が動くため、マネーロンダリング対策は重要な要素の1つです。
ビデオスロッツでは、2021年3月から2022年4月の間に、特定のプレイヤーがAMLの可能性がある傾向を示していました。
しかし、マネーロンダリングの可能性があるにも関わらず、実際には何の対策も行なわれていなかったとのことです。
本来であれば、マネーロンダリングの可能性が特定された段階で、一旦、プレイヤーのアカウントを停止するなどの措置が求められます。
もしも、マネーロンダリングのためにオンラインカジノが利用されているのであれば、大きな問題だからです。
ところが、ビデオスロッツでは、マネーロンダリングの兆候のあるプレイヤーを確認する過程が機能せず、問題のあるプレイヤーが遊び続けることができていたと報じられています。
マネーロンダリングへの適切な対応が遅れることで、ルールに則って遊んでいる他のプレイヤーにも、悪影響が出る場合もあります。
今回の件では、ビデオスロッツが、マネーロンダリングの可能性のあるプレイヤーを確認していながら、適切な対応をしていない点が問題です。
他のオンラインカジノも他人事ではなく、今後はリスクを防ぐことを優先した、迅速な対応が求められるでしょう。
責任あるギャンブルの対策が不十分
英国ギャンブル委員会は、SRCPと呼ばれるプレイヤーを保護するための規定を定めています。
ビデオスロッツは、英国ギャンブル委員会のライセンスを取得しているため、当然、こちらの規定を守る義務があると言えるでしょう。
しかし、実際のところは、プレイヤーに問題のある行動の兆候がみられると判断していながら、全く対策をとっていなかったことが明らかにされています。
2019年10月から2022年10月までの3年という長い期間で、ギャンブル依存の可能性があるプレイヤーに適切な対応を行っていないことは大きな問題と言えるでしょう。
英国ギャンブル委員会の規定では、オンラインカジノでの継続的なプレイが問題を及ぼす可能性のあるプレイヤーへ連絡し、確認をとらなければなりません。
プレイヤーと話をしたうえで、仕事に支障が出ている、多額の借金を抱えているなど、悪影響を確認した場合、アカウントの停止、閉鎖が必要です。
実際に確認のとれているケースは、以下のようなものでした。
プレイヤーからの申告内容
給与:6万ポンド~8万ポンド
貯金:2万ポンド~5万ポンド
6ヵ月で使用した金額:98,000ポンド
一般的に考えれば、給与と貯金の状況と照らし合わせても、明らかに異常な状態と分かるでしょう。
しかし、ビデオスロッツの担当は、該当プレイヤーとのやり取りをしたにも関わらず、その後もオンラインカジノでのプレイを継続させています。
また、別のケースでは、2021年11月21日から2022年1月7日までに112,225ポンドを入金し、58,725ポンドの損失を出したプレイヤーもいました。
短期間で大きな損失が出ていることもあり、当然、SRCPに基づく条件に該当しており、ビデオスロッツは問題があるプレイヤーと把握しています。
本来ならアカウントの審査を早期に行うべきですが、実際には2021年12月8日に行うべき審査が延期されて、2021年12月29日に行われていたという状況です。
このような無理のあるプレイを続けさせてしまうと、遠くないうちに生活に支障をきたすことは安易に予想できるでしょう。
オンラインカジノで安心して遊ぶための根底が揺らぐ事態ということもあり、最終的に英国ギャンブル委員会は、ビデオスロッツへ200万ポンドの支払いを命じました。
調査の対象となったビデオスロッツとは?
ビデオスロッツは2011年にヨーロッパでオープンし、2019年に日本向けのオンラインカジノをスタートした会社です。 審査が厳しいことで知られるマルタ共和国、イギリスギャンブル委員会のライセンスを取得し、合法的に運営されています。
6,200種類以上のスロット、ライブカジノゲームが用意されており、多くのプレイヤーに利用されている点も特徴です。
長年、問題なく運営されているカジノでしたが、今回、ライセンス元である英国ギャンブル委員会から、違反行為があったと認定された形です。
まとめ
ビデオスロッツが英国ギャンブル委員会から、違反行為があったと認定され、200万ポンドの罰金を科された件は衝撃的なニュースです。
マネーロンダリングを防止し、プレイヤーが安全に遊べるとうたっているオンラインカジノだからこそ、きめ細やかな対応が求められます。
今回の件では、長年運営されているカジノでも、現状に甘んじることなく、周りの状況にあわせて、変わっていく必要があることが示されたと言えるでしょう。
マネーロンダリングを防ぐ、ギャンブル依存症を防ぐための仕組みが最低限整っていることは、プレイヤーが安心して遊べる条件です。
この件をきっかけに、他のオンラインカジノも、今一度、体制を見直すことが大切と言えるでしょう。
プレイヤーができるのは、ライセンスを取得しているか、さまざまな規制に対して、適切な対応を行っているかを利用前に見極めることです。
合法的に運営されているオンラインカジノを選び、楽しい時間を過ごしましょう。