「大阪」全国で初めてとなる「ギャンブル依存症対策推進条例」が10月に大阪府議会で可決され、翌月から施行されました。
条例には、専門家やギャンブル依存症患者の意見を反映させた施策の実施や、青少年への予防教育の強化などが盛り込まれている。
カジノを含む統合型リゾート(IR)の開発計画を進める大阪府は、”依存症対策のフロントランナー “になることを目指しています。しかし、法律に明記された施策に必要な財源確保の見通しが立っていないため、条例の実現性には疑問がある。
日本では、競馬などの公営競技やパチンコなど、法律でレクリエーションと位置づけられている施設が数多く存在する。
2017年に中央省庁が発表したギャンブル依存症に関する全国疫学調査によると、成人の0.8%にあたる70万人が、過去12ヶ月間にギャンブル依存症と思われる状態を経験したと推定されています。また、大阪府が2020年度に実施した調査では、約9万8000人の府民にギャンブル依存症の疑いがあることが判明しています。
しかし、国がギャンブル依存症対策を本格化させたのは、統合型リゾートの法整備に着手してからでした。2018年にIR実施法とともに成立した「ギャンブル等依存症対策基本法」では、一部の都道府県が対策を推し進める計画を策定しています。
しかし、「アルコール依存症など他の依存症もあるため、その対策の財源が不足している」(ある自治体関係者)というのが実情だ。
ギャンブル依存症対策条例は、大阪府議会で最多議席を持つ地域政党「大阪維新の会」が提案した。同党は、ギャンブル依存症患者が治療を受け、安心して社会復帰できるよう支援することを目的としている。
今回の法案では、ギャンブル依存症患者の専門知識や意見を取り入れるための推進協議会を設置することを求めています。また、青少年のギャンブル依存症予防の必要性を訴え、5月を啓発月間と定めています。
県は、関連予算に加え、企業を中心に寄付を募る基金を設置し、ギャンブル依存症患者の支援団体への助成に充てる予定です。寄付を促すため、企業版ふるさと納税の寄付金控除制度を利用する予定だが、どれだけの金額が集まるかは不明。
ギャンブル依存症の民間支援団体「ギャンブル依存症を考える会」(東京)の田中紀子代表理事は、「基金の設立は一歩前進だと思う」と話す。しかし、公営競技やIRカジノが中央政府主導で行われていることを考えると、ギャンブル依存症対策に「公的資金を積極的に拠出することは理にかなっている」という。
大阪府の担当者は「条例で基金による財源確保が規定されているため、府が関連予算計上を増やすのは難しくなるかもしれない」と話す。