オンラインギャンブル市場は伸び代が大きい アナリスト
国際市場調査会社テクナビオは、世界のオンラインギャンブル市場について、2027年までに年平均成長率(CAGR)11.03%で1,505億ドル(約20兆611億7,700万円)に成長すると予測している。とりわけ、モバイルゲームへの需要の高まりが、市場成長を牽引すると予想されている。
確かに、モバイルゲームの需要拡大が市場成長の原動力となっている。端末の平均販売価格の下落を背景に、スマートフォンの普及が進んでいる。スマートフォンは、カジノゲームをプレイするための手近でシンプルなインターフェースを提供しており、その結果、「ユーザーはデスクトップゲームからモバイルゲームに移行している」とアナリストは述べる。
支払い方法の容易さと相まって、スマートフォンがオンラインギャンブル事業者の主要なプラットフォームとなった形だ。すでに巨大なマーケットを形成していたオンラインギャンブル業界が、これによってますます巨大な市場シェアを獲得することを可能にしたといえる。
一方で、Technavioのレポートによると、この市場の成長を阻む主な障害として、「個人情報を含むデータセキュリティに対する懸念の高まり」、「オンラインギャンブルプラットフォームのセキュリティと信頼性の問題」、「公正で責任あるカジノゲームの基準の欠如」といった問題があげられる。
また、オンラインギャンブルサイトは詐欺師やサイバー攻撃の格好の標的であり、これも市場成長の阻害要因になり得るという。大手オンラインブックメーカーのDraftKingsとBetMGMがユーザーのログインデータを漏洩させたことは記憶に新しい。セキュリティ問題、特にサードパーティに関する問題はすでに現実のものとなっている。
オンラインギャンブル 日本・アジア市場の成長は?
地域別では、アジア太平洋地域が予測期間中に最も大きく成長し、39%の伸びを示すと推定されている。この数字は、インド、日本、オーストラリア、韓国などの国々が牽引し、中国も国内では違法ではあるが貢献しているといわれる。
米国では、スポーツベッティングを中心に、ポーカー、ビンゴ、ロッタリーなど、オンラインギャンブル市場の拡大が目覚ましい。しかし、アジア太平洋地域では、その米国を含む北米よりもオンラインギャンブル市場の拡大が若干大きくなっている。
今後は、モバイルギャンブルが市場成長を牽引すると予言。2027年まではテーブルゲームが大きく貢献するが、利便性や携帯性、携帯電話画面の大型化などの利点から、ユーザーはモバイルゲームに向かい、デスクトップゲームの成長は停滞するとみられている。デスクトップゲームの存在感を維持するためには、画面サイズが厳しいポイントとなると指摘する。
同グループは、バーチャルリアリティの選択肢が増加することにより、VRゲーム市場は2025年までに17.4億ドル(約2383億円)に成長すると予測している。
また、人工知能は、企業がマーケティングキャンペーンを最適化したり、プレイヤーがユーザー体験を向上させたりするために利用されるようになるだろうと予測。この分野では「AIアプリケーションの流れが利益を最大化することが期待される」として、AIが市場に与える影響は計り知れないとレポートで言及している。
まとめ
国際市場調査会社テクナビオのレポートによると、オンラインギャンブル市場は2027年までに大きく成長し、その成長の多くは日本を含むアジアからもたらされるという。現状、日本では、オンラインカジノの運営やサイト経営に参加することは違法となっているが、海外のギャンブルライセンスを取得し、海外で運営されているサイトに参加することは違法ではない。オンラインギャンブル市場は世界的に急成長しており、近い将来、日本にも影響を与える可能性は小さくない。