スポーツベッティングの世界には、ほんの数試合にベットするだけで何億も稼ぐ人がいます。こういうと、「え?ブックメーカーはそんなに儲かるの?というか、そんなに儲ける人がいたら、ブックメーカーは破産しないの?」と疑問に思う人もいるでしょう。もちろん、高配当を出し続けるベッターばかりいたら、ブックメーカーは損失が出る一方です。
そこで今回は、ブックメーカーがどのように利益を上げているのか、どんなふうにビジネスとして成立しているのかについて、お伝えしていきます。ブックメーカーの仕組みを理解することで、ベッティングの際の注意点も見えてくるので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
還元率について
ブックメーカーの利益を考える上で、「還元率」という言葉はとても重要です。還元率とは、収益率、ペイアウト率、または略してRTPとも呼ばれます。簡単にいうと、賭けた金額がどれだけプレイヤーに還元されるかを数値化したものです。
例えば、還元率が80%であれば、プレイヤーが100ドル賭けた場合、80ドルがプレイヤーに還元され、20ドルがブックメーカーの利益として受け取られることになります。
還元率は100%に設定されることはなく、スポーツベッティングでは95%程度です。したがって、全ブックメーカーのベットのうち約5%は常にブックメーカーに有利なベットとなっています。このようにベットを調整することで、ブックメーカーは利益を得ているのです。
この還元率は、ブックメーカーによって異なります。サイトによっては、ベッターに有利なサイトもあれば、ブックメーカーに有利なサイトもあるのです。そのため、これらの還元率を比較して、より儲けられるブックメーカーを見つけることが重要です。
還元率やハウスエッジの設定方法について
ブックメーカーが利回り比で利益を上げていることはわかりましたが、具体的にどのようにブックメーカーは利回り比を規制しているのでしょうか。
ここでポイントとなるのは、還元率と対になる言葉であるハウスエッジです。ハウスエッジというのは、おそらく皆さんも一度は耳にしたことがあるでしょうが、賭場における胴元(この場合はブックメーカーが胴元です)の取り分のことで、マージン、コミッション、ジュース、ヴィッグ(Vig)とも呼ばれます。
ハウスエッジは胴元(ブックメーカー)の取り分、還元率はベッターに戻ってくる分ですから、還元率が80%の場合、残りの20%がハウスエッジとなるわけです。そして、ブックメーカーは、このハウスエッジをあらかじめ計算した上でオッズを設定し、利益を上げているのです。
例えば、コインをひっくり返すと、結果は表か裏のどちらかになり、両方の確率は50%です。つまり、目標が50%なので、オッズは通常2倍に設定されているのです。しかし、オッズが2倍に設定されていれば、ブックメーカーは利益を上げることができません。
今ここにAさん、Bさん、Cさんがいて、AさんがBさんとCさんにコイントスのギャンブルを勧めたとします。このA氏の役割がブックメーカーなのです。そして、勝者にはオッズの2倍に相当する配当が支払われるとします。そこで、BさんとCさんがそれぞれ1万円ずつ賭けたとすると、次のような状況になります。
- Aさん:預かり金2万円
- Bさん:コインの表に10000円のベット
- Cさん:コインの裏に10000円のベット
Aさんが賭け金を預かり、BさんとCさんがコインの裏と表にそれぞれベットした状況です。そして、コイントスの結果が表であったとします。そうすると、Bさんが2万円を獲得し、Cさんは賭けに負けて10000円を失うわけです。この賭けにおいて、ギャンブル(賭場)を提供したブックメーカーであるAさんは全然利益を得られないことになります。
もちろん、BさんとCさんの賭け金が同じでなければ、Aさんが儲かることもあるでしょうが、儲かったとしても、ゲームが進むにつれて残高はゼロに近づいていくことになるのです。したがって、オッズと確率が同じである限り、ブックメーカーが利益を上げることは不可能なのです。
このような市場は、ギャンブル業界ではトゥルー・マーケット、トゥルー・チャンス、100%市場と呼ばれています。しかし、ブックメーカーは利益を上げることが目的なので、こうした市場とは別種だと考えなければいけません。そのため、ブックメーカーがオッズを設定する際には、確立の優位性をオッズに含めています。確立の優位性を加味すると、確率は2倍どころか、例えば1.9倍にもなるのです。
前回同様、BさんとCさんが1万円を賭けたとします。そして、オッズが1.9でBさんが賭けに勝った場合、次のようなことが起こります。
- Aさん:1,000ドルの利益
- Bさん:10,000×1.9倍=19,000円
- Cさん:1万円の損失
オッズが1.9倍になると、全額を支払う必要がなくなり、Aさん、つまりブックメーカーは利益を得ることができるのです。オッズが2倍から1.9倍になると、全プレイヤーのベット額の合計がリターンを上回るからですね。これがオッズの働きです。この利益はひとつのベットでは小さくても、ゲームを繰り返すうちに増えていくので、ブックメーカーは利益を上げ続けることができるのです。
ハウスエッジの計算方法
ブックメーカーがホームアドバンテージをオッズに含めていることは既に説明しました。ここでは、ハウスエッジが実際にどのように計算されるかを紹介します。
先ほどの説明で使ったコイントスの例で、ハウスエッジは次の式で計算できます。
(1 ÷ 前面係数) × 100 + (1 ÷ 背面係数) × 100
最初の例のように係数が2xの場合、計算は以下のようになります。
(1÷2x) × 100 + (1÷2x) × 100 = 100%。
この場合、100%より大きい金額がハウスエッジ、すなわちブックメーカーの取り分となるのです。オッズが2倍のときは、ブックメーカーは儲からないので、上の式の結果は100%になります。
さらに、オッズが1.9倍である場合の計算式は以下の通りです。
(1 ÷ 1.9x) × 100 + (1 ÷ 1.9x%) × 100 = 105%。
ブックメーカーの取り分は、この計算式で求めた数値の100%を超える金額となります。
つまり、オッズが1.9倍に設定されている場合、ハウスアドバンテージは5%であり、ベットの5%を利益とすることができるのです。
ブックメーカーのマージンは通常5%前後です。まれに、このマージンを20%程度まで拡大することができます。つまり、オッズが低く設定されているため、プレイヤーは不利な立場に立たされることになる。スポーツベッティングは、ベッティング方法によってオッズエッジの設定方法が異なることが特徴です。
コイントスの場合、結果の確率が一定であるため、確率法と呼ばれ、常に一定の確立のエッジを伴います。
一方、試合の結果のように確率が変動したり、予測できない場合は、ベット参加者の好みや判断に基づいて運営者がオッズを設定します。そのため、設立時のアドバンテージは常に変化します。これはブックメーカー方式と呼ばれるものです。
スポーツベッティングにおけるホームアドバンテージの決定方法
オッズを決定する際には、まずホームアドバンテージを考慮せずに合計が100%となるように各確率を決定します。
例えば、アメリカンフットボールのボルチモア・レイブンズ対ピッツバーグ・スティーラーズの試合を考えてみよう。前回の各試合の結果、選手のコンディション、試合が行われるスタジアム、当日の天候など様々な要素を考慮して、以下のように確率が設定されているとする。
- ボルチモア・レイブンズの勝利:56%。
- ピッツバーグ・スティーラーズ勝利:31%。
- ドロー:13%。
全体で100%になっています。
そして、最近の試合結果やチームの人気度などを分析し、ベッターがどのように賭けるかを予測することで、ハウスアドバンテージを加えていきます。仮に、ホームアドバンテージを110%に上げるとしましょう。
- ボルチモア・レイブンズの勝利:61%。
- ピッツバーグ・スティーラーズ勝利:34%。
- ドロー:15%。
合計110%です。
そうすると、ブックメーカーは、ベット総額の10%を利益として確保することができるのです。
ハウスアドバンテージが加算されるタイミングは、オッズコンパイラーOdds Compilerが決定します。オッズコンパイラーは、ベッティングショップの中でもオッズを専門に扱う重要なポジションです。彼らは計算機的な知識とスポーツの専門知識を持ち、ブックメーカーが安定した利益を上げられるよう、バランスを取りながらハウスアドバンテージを加えていきます。
そのため、ブックメーカーは利益を出すための専門的なポジションを持ち、計算し、オッズを設定しています。
まとめ
さて、ブックメーカーがどのように利益を上げているのかを説明しましたが、プレイヤーはこの知識をどのように利用して、ベッティングを実践すればよいのでしょうか。
まず一番大事なことは、オッズを「確率」と捉えないことです。ブックメーカーがオッズを設定する際には、試合の結果だけでなく、チームの人気、予想オッズ、得られる利益など、様々な細かい要素を考慮して専門的に行います。
したがって、オッズが低いほど勝つ確率が高いという理由だけで賭けるのは危険なだけなのです。大きく勝ちたいからとオッズの良いマッチばかりを狙う人がいますが、無謀の一言です。オッズで賭けるのではなく、これまでの試合結果や選手のコンディションを分析し、自分で試合結果を予想することが大切です。
次に、ベットをする際には、常にハウスエッジを意識することが大切です。ホームエッジ」が高ければ高いほど、プレイヤーにとって不利になることを忘れないで下さい。賭ける前に、オッズが不公平ではないか、どのブックメーカーのハンディキャップが小さいかなど、下調べをすることが大切です。
また、プレイヤーに有利なオッズを見つけることも可能で、そのようなオッズに賭けることで、スポーツベッティングで勝ちやすくなるのです。いずれにしろ、大切なのは情報収集です。ゴシップなどに振り回されることなく、冷静な分析材料を集め、現実的に判断しましょう。ベッティングギャンブルはクールなゲームなのです。